システム運用にITILを取り入れる時のポイント

「Information Technology Infrastructure Library」の略であるITILは、ITサービスのマネジメントにおいての成功事例をまとめた書籍を指しています。英国政府がとりまとめを行い、システム運用の管理業務の質向上を狙う企業にとって非常に重要な存在となっています。ITILでは運用管理業務を7つに大きく分類しており、7つそれぞれについてのガイドラインや業務プロセス、運用手法を文書化しています。その内の「サービスサポート」では、エンドユーザーのサポートをするためには、変更管理や問題管理といった業務が必要だと挙げており、そのために取り組むべき内容や注意する点もまとめられています。ITILは英語版がオリジナルの書籍ですが、日本語版も販売されています。さらに普及促進をはかる団体が、英国だけでなく日本などの世界各国にあり、書籍の翻訳を行ったりイベントを開催しています。

ITILのシステム運用のメリットとは

ITILを導入するメリットとして、「経営者」と「システム運用者」の2つの視点で考えることができます。経営者にとってのメリットは、視覚で見えづらいIT運用のコストや負荷を「見える化」できる点です。ITILはインシデント管理のログを全て記録しています。そのため、サポートの作業量や負荷がどの位あるのかを定期的に知ることが可能なのです。この「見える化」がきちんと整っていれば、運用コストを正しく算出できるだけでなく、作業量に対しての人員配置を正しく行うことができるのです。一方、システム運用者にとってのメリットは、運用をシステム化にすることで日常の業務を効率的に行うことができます。ITILを導入することにより過去の事例を参考にでき、対処の手順が明確にされているため、トラブルが起きた際にも効率的な対応を望めるのです。

ITILのシステム運用導入時は、他部門を巻き込むことが不可欠

ITILはシステム運用の管理業務を対象としているため、運用部門のみの現場を改善するプログラムだと思われがちです。しかし他のユーザー部門や、システム企画を行っている部門なども巻き込んだ体制を取ることが成功へのステップとなります。ITILの導入はシステム運用の改善だけにとどまるものではありません。ビジネスの視点に立って、ITサービスを適切に管理するためのフレームワークとなり、システム運用における品質の向上やコストの最適化を実現するためには、アプリケーションの開発部門や保守部門、企画部門なども巻き込んで、プロジェクトを確立させる必要があるのです。システム運用部門のみが孤軍奮闘しても、他から理解やサポートを受けられることは考えにくいため、他部門におけるメリットも明確にした上で、目的意識を共有することが重要です。